認定資格で最難関?細胞検査士合格への道とは? #4
こんにちは、臨床検査技師・医療ライターのサユコです。
今日も検査に育児に奮闘しています!
今回取り上げるのは「細胞検査士」についてです。
細胞検査士と言えば、色々な部位の検体からがん細胞など異常な細胞を見つけるプロですよね。
そんな細胞検査士になるための認定試験について、情報をまとめました。
「細胞検査士認定試験の対策がしたい、情報が欲しい!」と思われた方はぜひご覧ください。
私のように「細胞検査士って名前はよく聞くけど、何となくしか知らなかった…」という方にも、細胞検査士の凄さを知って頂ければ幸いです!
受験資格を得るだけでも一苦労!
臨床検査技師が取得できる認定資格は色々と幅広いのですが、有名なもの・目指す人が多いものは「超音波検査士」と並んで「細胞検査士」ではないかと思います。
思い起こせば、病理が好きな人は学生時代から興味を持っていました。
「細胞検査士になりたい」とはっきり希望して養成学校に進学した後輩、希望通り病理部に就職してから実務経験を積み試験に合格した友達がいます。
(一方、「超音波検査士」なんて全く知らなかった私…)
細胞検査士の認定試験は、
望めば誰でも受けられるわけではありません。
・臨床検査技師または衛生検査技師として、細胞診検査の実務に1年以上従事している
・細胞検査士養成所あるいは養成コースのある大学の卒業、卒業見込み
という条件を満たして初めて受験資格が得られます。
試験の詳細は、下記ホームページをご覧ください。
養成所は大学や専門学校を卒業した後に勉強するところで、大学の養成コースは臨床検査技師免許と同時に細胞検査士を取得するコースです。
ただでさえ実習が忙しかった記憶があるので「かなり勉強が大変そう…」という印象を持ちました。
試験は二次試験まで。合格率はなんと…
受験資格を得て、いざ受験。
試験は一次試験と二次試験に分けて行われます。
一次試験
筆記、カラープリントによる細胞像試験
総論、技術、婦人科、呼吸器、消化器、体腔液・その他の各20問の筆記試験と、
カラープリントされた細胞画像60問程度設問に解答する試験が行われます。
他の認定試験は領域ごとに分かれているものが大半なのに、細胞診は全分野網羅しているんですね。
二次試験
一次試験合格者は約1.5ヶ月後に二次試験を受験することになり、実技試験としてスクリーニング、同定、標本作成、面接を行います(コロナの影響か、標本作成と面接は近年実施されていないそうです)。
実際の標本を見て試験をするわけですね。
一次試験の会場は東京、大阪の2か所ですが二次試験は東京のみで実施です。
二次試験が不合格でも、翌年の一次試験は免除となりますので再チャレンジしやすくなっています。
大抵の試験は一日もしくは半日で終わることを考えたら、かなりの長丁場です。
精神的にも大変そうだと感じました。
気になる合格率
気になる一次試験の合格率は約50%、二次試験も約50%のことです。
つまり、最終合格者は全体の約25%というわけです!
これは、臨床検査技師が受けられる認定試験の中で最難関の部類と言えるのではないでしょうか。
参考までに、超音波検査士認定試験の合格率は全体で70.5%とされています。
領域によって前後しますが、50%を切ることはありません。
日本にいる約6,000人の細胞検査士の方々に改めて敬意を表します。
国際版の細胞検査士認定もある
細胞検査士に認定されて細胞診に3年以上従事すると、国際細胞学会が認定する国際細胞検査士(CT IAC)と呼ばれる認定試験の受験資格が与えられます。
(ちなみに、日本国内の一般的な細胞検査士はCT JSCと呼ばれます。)
IACは2年に1回試験が実施され、筆記、鏡検、写真問題から成っています。
IACの試験は1日で終了するようです。
日本の細胞診断技術は世界でもトップクラスだそうで、IACの半数以上は日本人とのことです。
国際より国内の試験の方が難しい、と言っても過言ではないとか…。
細胞検査士認定試験、どう対策したらいいのか
残念ながら、私は細胞検査士認定試験を受けたこともなければ受験資格もありません。
でも、実務経験を積んで働きながら合格した友人に話を聞くことができました!
周りに受験経験者がいない方は参考にしてみてください。
一次試験:とにかく過去問とガイドライン
多くの試験と同じように、筆記試験は過去問で傾向を掴むことだそうです。
私が「厳しいな」と感じたのは、分野ごとに20問ずつ出題されますが50%未満の得点率だと足切りで不合格になってしまうことです!
ちなみに、写真問題と合わせて70%以上で合格ラインとのこと。
写真問題は、二次試験のように実際の標本を見るわけではないので珍しい症例も出題される可能性があるので、実際に出会わないようなものも出る。
ガイドラインやアトラスなどを読み込んでいった、とのことです。
二次試験:毎日ノルマを決めて練習
一次試験をパスすると、1ヶ月半くらい間をあけて二次試験が行われます。
友人は働きながらの受験だったため「毎日50枚はスクリーニングの練習で標本を読む!」と決めて対策してスピードと精度を上げるようにした、と言っていました。
この時もガイドラインやアトラスは大活躍。
あとは「プレッシャーに勝てるように自信を持って受験できるくらいになる」くらいトレーニングしていくことだそうです。
友人は実際に病理部で働き始めてから3年目に1発合格していました。凄い!
友人は「“一次試験と二次試験の間が辛かった、早く受験してスッキリしてしまいたい!”と思っていた」と言っていました。
確かに、一次試験が10月末に行われてから最終合格発表までの2ヶ月半くらいをモヤモヤし続けるのは…中々辛いものがありますね。
オンラインでも細胞検査士対策をやっている
コロナ禍もあり、最近では試験対策としてオンラインでもセミナーが開講されているようです。
友人曰く「私の時はなかったと思う、仕事しながらだとオンラインで見られたらいいよね」とのことですが、私も同感です。
(コロナ禍で唯一よかったことは、セミナーや学会にオンライン参加しやすくなったことでしょうか…)
くまのこ検査技師塾でも、試験の時期になると「細胞検査士試験対策」のセミナーが行われています。
分野別に分かれていて充実している苦手意識がある方は参加してみてはいかがでしょうか。
資料やアーカイブ動画も用意されているので、何度も見返せるのが嬉しいです。
また、塾が運営するオンラインサロンでも「細胞検査士対策」のスレッドがあります。
現役の細胞検査士の方の意見も聞けるので、臨床でも有益だと思います。
ぜひサロンも有効活用しましょう。私も入会していますが、非常に勉強になっています!
「細胞診とエコーって似てる」?
ところで、友人と話をしているうちに「細胞診とエコーって似てるよね」という結論に達しました。
病理と生理、一見かかわりがないようにも思えるのですが…
「病理もエコーも、見てるもののから異常を見つけるのは同じだもんね」と言われて
「確かに!」
病理では顕微鏡を使って悪性の細胞の有無を、エコーでは装置を使って病変の有無を見つけるべく検査します。
見ているものがミクロの世界かマクロの世界かの違というだけで、確かにやっていることは大きく変わらないかも、と気づきました。
しかも検者の技術と知識によって結果が左右されることがあるという点も同じです。
お互い「とにかく、見落としだけは避けたい。スキルアップに向けて日々勉強しないとね!」という点も同じでした。
学生時代、病理が好きで生理機能が嫌いだった友人と生理機能が好きで病理は嫌い(スケッチが下手すぎて…)な私。
遠い存在に思えた細胞検査士が一気に身近に感じられるようになった日でした。
一児の母。
大学の検査技術学専攻を卒業した後、大学病院→個人クリニック→健診施設と勤務。
現在は検査技師かつ医療系ライターとして、フリーで働いています。
超音波検査士(健診領域)を取得したものの、まだまだ勉強中。