あなたの職場の検査事情①エコー検査の所要時間、一件あたりどれくらいですか?#6

エコー検査時間

こんにちは、臨床検査技師・医療ライターのサユコです。
現在は仕事の繁忙期に突入し、仕事に精を出す日々です!

5月、6月は各学会が学術集会を開催する時期でもありますね。

子育て中の身にはオンライン開催も参加しやすくてありがたいのですが、やはり直接聴講すると集中力や記憶の残り方が違うように思います。

目次

オンラインサロンで話題になった、気になる他施設の検査事情とは…

さて、そうは言うもののやはりオンラインは非常に便利です。
時間・場所問わず交流できますものね。

臨床検査技師のオンラインサロン「くまのこ検査技師塾オンライン」では、検査に関する知識の交換や質問、転職相談、その他、グルメの雑談など…
まじめな話から雑談まで、ジャンルは多岐にわたって毎日楽しくやり取りなされています。

セミナー講師を務めるようなベテランから初心者まで、参加者は年齢も住んでいるところも様々です。

経歴や住んでいる地域、勤務先など色々な垣根を取り払ってコミュニケーションが出来るのが特長で、

「見慣れない症例だけど、どう解釈すべきだろう?検査技師が1人の職場で誰にも相談できないけど、意見が聞きたい(個人情報の削除等は徹底して症例検討)」

「今度学会に現地参加します!おすすめのご当地グルメありますか?」

「職場でこんなことがあって困っているけど、皆さんの施設ではどうしていますか?」

…など、話題に尽きることなく楽しいオンラインサロンです。

もしまだ参加されていない方、
ぜひ一緒にお話ししませんか?

エコー1件にかける検査時間ってどれくらい?

そんなくまのこ検査技師塾オンラインサロンで先日話題になったこと。

それは…

「エコーの検査時間って、1件当たりどれくらいですか?」

という興味深い内容です。

サロンメンバーの方が他のスタッフに
「(検査時間が)早すぎないですか?」と言われたことから、他の参加メンバーの施設はどうしているか意見交換がなされました。

エコーに限らず、検査の運用は自分の働いている施設の方式がスタンダードになりがちですよね。

他の施設の方法を知ることで「そんな方法があったんだ!」「その方が効率いいかも!」と新たな発見もあるかもしれません。

検査部位や施設の種類、受診者の数など条件は色々ですが、実際に現役でエコーを担当している技師たちから意見が寄せられました。

そこで、今回はエコー1件あたりの所要時間について、オンラインサロンで寄せられた意見をまとめてご紹介します!

(まとめてコラムに掲載することを許可いただいたメンバーの皆様、ありがとうございました!)

実際の現場はこうなっている!リアルな声を集めました

実際に寄せられた意見は以下のようなものでした。

サロンメンバー1

大体一部位10~15分。所見や観察しやすさなどにもよるが、どんなにかかっても30分はかけないように心がけている。

サロンメンバー2

胎児、腹部、心臓は10~15分以内。下肢静脈は15分、下肢動脈、頸動脈は所見により20~40分くらい。上肢の血管は動脈・静脈両方観察して30~45分。甲状腺は10~30分くらい。(所見を書く時間込み)

サロンメンバー3

腹部、頸動脈、甲状腺は~10分。下肢静脈15分、心臓20分、を目安にしている。

サロンメンバー4

研究用のデータも集める際は、検査時間は長くなる。30分くらい。

サロンメンバー5

クリニックで検査する時は、腹部、甲状腺、頸動脈、心臓全て20分枠で検査~所見まで記入する。

サロンメンバー6

健診では腹部は所見があっても10分以下。乳腺は所見があったら15分前後かかることもある。両方とも所見がないか、少ない場合は5分くらい。頸動脈は所見によるが、平均15分くらい。

サロンメンバー7

甲状腺、頸動脈は10~15分、所見がたくさんある場合は30分近くかかる時も。甲状腺+頸動脈など、まとめて複数部位を検査する場合は20分くらいかかることもある。

サロンメンバー8

病院の場合、腹部は医師とのダブルチェック込みで20分枠。血管40分枠、甲状腺、20分枠。乳腺は診察時間帯予約で1時間4~5人ペース、胎児は1時間5~7人ペース。

サロンメンバー9

検診では腹部と乳腺合計でAM10~15件くらい。

サロンメンバー10

基本一件15分枠で、時間調整のための15分枠を1時間に1回入れていた。下肢や関節は観察する場所が多いので30分枠としていた。呼び入れ~所見記入までで15分枠なので、調整の15分枠が大切だった。

サロンメンバー11

総合病院で予約枠はなし。心エコーで20分くらい。早い人は10~15分くらいで検査していた。

サロンメンバー12

腹部、頸動脈は30分枠、心臓、下肢、頸動脈、腹部がいつ入るかわからない場合は45分枠。予約時間ピッタリに開始するのが難しい事情を考慮して30分枠に設定している。

…と、たくさんの意見が寄せられていました!

読むだけでも参考になりますが…ただ読んで終わるだけではもったいないですね。

これらの意見からわかったことをまとめてみます。

1件あたり15~20分枠の施設が多い
・血管エコーは観察する場所の多さから、どの施設でも長め
・健診は時間当たりの受診者が多いので特にスピードが求められる
・予約を取っているので受診者数はある程度制限され、検査直後に所見まで

記入している施設が多そうです。
調整時間を設ける、医師とのダブルチェック時間を考慮するなどは病院ならでは。

各部位の検査推奨時間は決まっているの?

それぞれの部位で、ガイドラインなどで検査推奨時間は決まっているのでしょうか。

実際は検者の技術や所見の有無で大きく変わってくるため「〇分程度」と具体的に設定されてはいないようです(腹部のみ、有所見例以外の具体的な時間の記載あり)。

参考に、複数の病院のホームページに記載されている患者・受診者向けの説明を参照して大体の設定時間を割り出してみました。

腹部:「検査に要する時間は,検査環境によっても異なるが有所見例以外で1時間に5~6人を目安とする
(検査時間は検査精度や検者の能力と相関するため無理な時間設定は避ける)。」
(引用:腹部超音波検診判定マニュアル改訂版(2021年)
https://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2021/06/fukubu-manual2021-210630.pdf

心臓:「検査時間は1症例あたり16~30分施行が最も多かったが31~45分で検査が行われている施設も17件認め、各施設で十分時間をかけて検査を施行していると考えられた.」

この調査に参加した全78施設中の50施設が16~30分かけてエコーを行っている、という結果でした。

(引用:アンケートを用いた日本における検査技師による心エコー図検査の現状https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/52/8/52_860/_pdf

乳腺10~15分程度の記載が多い。短いと5~10分、長いと30分。

頸動脈15~20分程度の記載が多い。短いと10分、長いと45分。

甲状腺20分程度の記載が多い。短いと10分、長いと30分。

血管30分~60分程度の記載が多い。

胎児:通常の外来では10~15分程度の記載が多い。胎児スクリーニングでは30分~。

大体、実際の意見と同じような時間で記載されていました!

ただ、ほぼ全てのページに「個人差があります」「患者さんの状態により異なります」などのただし書きも記載されています。

所見のある・なしでは大きな差が出ますよね(検査時間だけでなく、所見の記載時間もも…)。

「時間をかければ丁寧な検査」というわけではない!

もともと、この話題は「検査時間が早すぎる、もっと時間をかけるものでは?」と他の技師から指摘された方が、サロンメンバーに意見を募ったことからスタートしました。

(意見交換や検査説明を調査して指摘を受けた方の検査時間は、適正時間と言える範囲のものです)

検査時間についての話題ではありましたが、その中で「時間をかけたからといって丁寧な検査とは言えない」と意見を述べた方がいらっしゃいました。

所見が多い、観察する部位が多いなら時間がかかるのは当然ですが、それはあくまで必要な時間だから。

スピード重視で観察不十分になっては困りますが、必要以上に時間をかけすぎても被検者・検者両方とも疲れてしまいますよね。

また別の目線で考えれば、限りある時間の中で検査枠が減ってしまいますし、検査が長引くと他の患者さんの待ち時間も長くなります。

エコーに限らず「必要十分な時間で正しく評価を行う」という意識は常に忘れないようにしたい、と思い直した瞬間でした。

どのタイミングでどんなことをやればいいのか…すぐに実行できるのか。

適切に判断して手技を実行!

評価するドクターに「お、このデータもあると診断しやすいな」「ここまで評価してくれるとありがたいな」と思ってもらえるような価値を提供できるのが「丁寧な検査」かな、と個人的には考えます。

そのためには技術と知識の習得、日々の研鑽が欠かせませんよね。

本当の「丁寧な検査」をするために、お互い頑張りましょう!

検査時間の話からはややそれてしまいましたが…今回のコラムはこれで終わります。

意外と気になる「あなたの職場の検査事情」、今後不定期連載するかもしれません!

リクエストもぜひ、お待ちしております!

著者:サユコ

一児の母。
大学の検査技術学専攻を卒業した後、大学病院→個人クリニック→健診施設と勤務。


現在は検査技師かつ医療系ライターとして、フリーで働いています。

超音波検査士(健診領域)を取得したものの、まだまだ勉強中。


現在会員数135名!
臨床検査技師のためのオンラインサロン『くまのこ臨床検査技師塾オンライン』も運営中です。


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