臨床検査技師は英語ができた方がいい? 中学生レベルでもOK!受診者への英語対応のポイントは?#8
こんにちは、臨床検査技師兼医療ライターのサユコです。
子供の夏休みがもうすぐ終了の季節、「ひと仕事終えた!」と何故か達成感を覚えています。
今年は「夏休みに海外に行った」という方が周りに多いように感じますが、皆様はいかがですか?
さて、海外と言えば、先日「英語対応をお願いします」という方が来院されました。
現在の勤務先はあまりそういった方がいらっしゃらない施設なので、身構えている職員さんも結構いらっしゃいました。
無事に健診を受けてお帰りになったようで良かったです。
日常の業務で英語を使いますか?
私が以前働いていた施設では、受診者層の関係で毎日必ず英語対応が必要でした。中学生レベルの英語でしたが、職員皆が普通に対応していたと記憶しています。
私はその名残もあって一応対応できるのですが、「普段から英語を使わないと、“英語”というだけで余計に身構えてしまうのかも」と思いました。
英会話だけでなく、英文が読めると色々な面で便利なことがありますよね。
皆さんの施設では、日常業務で英語を使う機会はどれくらいありますか?
今回は、臨床検査技師と英語について考えてみました。
意外と多い?臨床検査技師が英語を使う場面
ここで、臨床検査技師が業務で英語を使う場面を具体的に考えてみました。
英語は4技能と呼ばれる「聞く(リスニング)」「話す(スピーキング)」「読む(リーディング)」「書く(ライティング)」から成っていると言われていますが、特に必要なのはどの能力なのでしょうか。
(参考:https://www.mext.go.jp/content/20191224-mxt_daigakuc02-000003550_21.pdf)
①論文やマニュアルを読む
学会発表のためにデータのまとめや原稿の作成や論文の執筆を行う場合、また新しい治療法の紹介などを原文で読みたい場合などは英語論文を読む機会が多くなります。
リーディングにあたる部分です。
CRCの方などは特に英文に触れる機会が多いのではないでしょうか。
試薬や機器のマニュアルも英語で書かれていたりすることもありますね。
和訳がついているものも多いですが、原文で読むことを求められる場合もあります。
②受診者とコミュニケーションをとる
主に生理検査や採血の時に、受診者とコミュニケーションをとるために使います。
リスニング・スピーキングにあたりますね。
実際行ってみて、「医療の専門的な単語さえ覚えておけば意外とどうにかなるな」というのが感想です。
検査の場合、受診者が過去に同じ検査を受けたことがあるかどうかでだいぶ難しさが変わると思いました。
検査の目的と方法を0からわかりやすく簡潔に英語で説明しなければならない方の対応は、難易度がアップします。(あまり時間をかけすぎると、順番が詰まって他の方を大変お待たせすることになってしまいますし…)
日頃から英語対応を行う施設では、検査にあたって英文の説明書きを用意し、事前に読んでもらうことも多そうです。
この場合はライティングも関わってきますね。
ちなみに…一通りの健診項目+αは英語対応できるようになりましたが、個人的に一番難しいと思っているのは「初めて受ける方の肺機能検査実施」です。
③国際学会での発表、雑誌への論文投稿
大学病院など、研究も盛んに行っている施設に勤めている場合は国際学会での発表、国際雑誌への論文投稿をする機会がある方もいらっしゃると思います。
大学病院勤務時代には、実際に発表のため渡航していらっしゃる方や論文執筆に頭を悩ませている先輩を身近で見てきました。
口頭発表も行う場合、4技能をフルに活用することになりますね。
臨床検査技師としては限られた人しか経験しないこととは思いますが、検査業務以外で大きなスキルアップする機会です!
改めて書き出してみると、勤務先の特性にもよりますが「臨床検査技師が英語を使う機会は意外と多いのかも?」と思いました。
特に、日本語ネイティブではない受診者対応をする機会はコロナ禍が明けてどんな場所でも増えつつあるのではないでしょうか。
対応できるようにしておいて損はないですよね!
中学生レベルでもOK!受診者への英語対応を行う時のポイント
ここで、私が実際に行っている英語対応をご紹介します。
参考までに、私の英語能力は
- 英検2級(20年前、ほぼ忘れた)
- 大学時代にTOEFL受験したものの、スコアは完全に忘却の彼方
- 大学時代に卒業研究で英語論文をたくさん読まされた
- ミュージカル来日公演などが好き。観に行ったら字幕をほぼ読まずに何となく話を理解している
といった感じです。
今は積極的に英語に触れる機会があまりなく、知識はどんどん忘れております。
正直言ってネイティブや英語が堪能な方に聞かれたくはないレベルではありますが、これで大半の英語対応はできています。
①あらかじめ説明で話す内容を決めておく
検査の説明で話す内容は決まっていることがほとんどなので、英語でどう説明するか決めておきます。
メモに書いてカンニングペーパーを作っておくといいです。
口語の医療英語会話の例文はWEB上にたくさんあります。参考にしながら自分だけのメモを作っておきましょう。
準備をしていると「専門的な単語以外は、意外と中学で習ったレベルの英語で大丈夫そうだ」と気が付けると思います。「案外簡単、自分もいけそう」と思うとハードルも下がり、対応する時もオドオドしないで済みますよ。
くまのこ検査技師塾のオンラインサロンでは、なんとメディカルイングリッシュに精通している方に直接
「どう表現すればいいんでしょうか?」と質問できるチャンネルがあります!
大変ありがたいコミュニティなので、ぜひ活用をおすすめします。
(サロンリンク:https://kumanokoboy.com/blog/kumanokomt-salon/)
検査以外で聞かれそうなことや話すことも想定しておく。
「あちらの椅子に腰かけてお待ちください」
「先生から説明があります」
「まだお水は飲めません」
など、検査に関わること以外にも会話する機会はたくさんあります。
フレンドリーな方だと多少の雑談として話しかけられたりも…。
雑談はともかく、検査以外によく聞かれることも英語表現をまとめておくと焦らなくて済みます。
(上手くしゃべれなかったとしても)にこやかに対応する。
基本的には「準備をしているし、簡単な会話で大丈夫!」なのですが…英語対応していて「なんて言ったらいいかわからない!」「何か聞かれているけど、この人はなんて言ってるんだろう?」と思う場面は絶対に遭遇します。
そんな時はとりあえずにこやかに対応しましょう(マスクをしているとやや伝わりにくいかもしれませんが)。
コミュニケーションしようとする気持ちを伝えるのが第一かな、と思っています。
自分が伝えたいことが英語で上手く出てこない時は、恥を捨ててジェスチャーをしたり単語を並べたりしました。
絵が上手な同僚は、即興のイラストで説明していたりもしましたね。
言っていることがわからなければ
「私はあんまり英語が得意ではないので、もう少し簡単に言い換えて頂けますか?」
とお願いしたりしていました。
適当なことは言えないので、それでもわからなければ正直に「申し訳ありませんが、私にはわかりません」と言うか、英語対応が自分よりできそうなスタッフがいれば引き継ぐかしていました。
医療英語を勉強したい時にはどうする?
とりあえずの対応はできるようになったとしても「もうちょっとちゃんと医療英語や英会話を勉強したい」と思うこともあると思います(私もそう思っています)。
医療英語を勉強しようとすると、
- 医療従事者向けの英会話スクールに通う
- YouTubeを利用して海外の病院でのやりとりを知る
- 認定試験の受験に向けて対策する
といった方法が手軽でしょうか。
私は今から3年以内くらいには「認定試験の受験に向けて対策する」を実践しようと思っています。本格的な医療通訳のためのものではなくても、
・医療英会話技能検定 https://www.jme.or.jp/exam/mec/index.html
・CBMS https://parttimejapsam.wixsite.com/cbms-exam1
あたりなら医学生レベルから対応しているようです。
英語は好きな方なので、趣味と実益を兼ねてチャレンジしてみたいと思います。
英語が好きな方、一緒に受験してみませんか?
まとめ
臨床検査技師と英語について考えてみました。勤務している施設によって差はあるものの、日常的に行う業務の範囲での英語対応はできるようにしておくと良いですね。
認定試験も各種あるようですので、自分の興味やレベルに合わせて検査技術とはまた違った面からスキルアップしてみませんか?
一児の母。
大学の検査技術学専攻を卒業した後、大学病院→個人クリニック→健診施設と勤務。
現在は検査技師かつ医療系ライターとして、フリーで働いています。
超音波検査士(健診領域)を取得したものの、まだまだ勉強中。