超音波検査士の年収って?臨床検査技師と比較した結果を調査しました。

臨床検査技師の中でも目指す方が多い「超音波検査士」。
超音波のスペシャリストとして、臨床検査技師からキャリアアップを考えている方も多いでしょう。
そんな超音波検査士、臨床検査技師と比べて収入の違いはあるのでしょうか?気になる部分を深堀してみました。

目次

超音波検査士の平均年収と臨床検査技師との差

超音波検査士と臨床検査技師の年収には、どのような違いがあるのでしょうか。
果たして知識と経験は収入に反映されているのでしょうか。

最新データ(厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査)、求人情報サイトの情報に基づいて解説します。

最新データに見る超音波検査士の年収中央値

厚生労働省は「超音波検査士」として統計をとっていません。
臨床検査技師の転職サイト・求人サイトを見ると、超音波検査士の年収中央値は、資格を持たない臨床検査技師と比較し約10~15%高い傾向にあります。

ただし、勤務先や勤続年数、経験年数によって大きく変動すると考えられます。
大学病院や大規模総合病院で働く超音波検査士の場合、役職手当や夜勤手当なども加味すると年収500~550万円程度になることも珍しくないでしょう。

臨床検査技師全体の平均年収

臨床検査技師全体の平均年収は、厚生労働省の令和6年版賃金構造基本統計調査によると約504万円と報告されています。
ちなみに、新卒時の初任給は19万5,339円です。

日本全体の平均年収は約460万円で、比較してみると44万円高い結果となりました。
「臨床検査技師の給料って低いよね…」
と思いがちではありませんか?統計上ではそんなことありません!

年収が決まる要因別データ比較

超音波検査士や臨床検査技師の年収は、さまざまな要因によって左右されます。それぞれの要因別に詳しく見ていきましょう。

年齢別・経験年数別年収推移

20代(経験1~5年) の臨床検査技師の平均年収は約350~400万円です。超音波検査士資格を持つ場合は、これに資格手当が加わることがあります。

30代(経験6~15年) になると、臨床検査技師の平均年収は約450~500万円に上昇します。超音波検査士としてのスキルを磨き専門性を高めた場合は、約500~550万円になることもあるでしょう。

40代以上(経験16年以上) では、役職や責任範囲の拡大により、臨床検査技師でも約500~600万円、職場の給与形態によっては約550~650万円程度まで上昇する傾向にあります。

経験を積むことで技術力が向上し、より高度な検査や診断補助ができるようになることが評価され、年収アップにつながります。

勤務先別(病院規模・クリニック・企業)年収差

勤務先によって年収には大きな差があります。求人情報からわかる情報を比べてみましょう。

大学病院・総合病院 では基本給は安定していますが、残業手当やボーナスを含めた年収は約450~550万円程度のところが多いようです。夜勤や当直がある、福利厚生が充実している、といった特徴があります。

クリニック・診療所 では年収にばらつきがあり、約400~500万円程度です。半日勤務と出勤日数が多め、基本給が抑えられていることが多い、といった傾向があります。

検査センター・健診施設 では安定した業務内容で、夜勤はありません。年収は約430~480万円程度です。

医療機器メーカー・企業 に勤務する場合は、営業・研究開発・アプリケーションスペシャリストなどの職種によって異なりますが、年収500~600万円以上も可能です。特に超音波検査の専門知識を活かせるアプリケーションスペシャリストは高収入が期待できます。

地域別(主要都市・地方)年収比較

地域による給与差も無視できません。

東京・大阪・名古屋 などの大都市圏では、平均より約10~15%高い年収(約460~520万円程度)が期待できます。ただし生活費も高くなります。

地方都市・郊外 では、年収は約400~450万円程度と若干低くなる傾向がありますが、生活費も安めの傾向があります。

北海道・東北・九州 などの一部地域では公立病院の比率が高く、安定した給与体系の勤務先の割合が多いでしょう。

性別・学歴(大卒・専門卒)による違い

性別による給与差 は、基本給に関しては同一労働同一賃金の原則から差はないはず。
しかし、役職登用や昇進に差があるケースでは結果的に年収差につながることがあります。
特に女性は、ライフイベントによるキャリア中断が年収に影響することも考慮する必要があります。夜勤の免除によって手当がなくなる、などの事情も出てくるでしょう。

学歴による違い として、大卒と専門卒では初任給に月額約1~2万円の差がつくことがあります。
しかし、経験年数が増えると学歴よりも実務能力や取得資格、役職手当で差が埋まってくる傾向があります。
4年制大学卒業者は初任給で有利なスタートを切れることもありますが、長期的には個人の能力や専門性がより重要となるでしょう。

超音波検査士資格手当の相場と昇給への影響

超音波検査士資格を持つことによる直接的な手当は、勤務先によって大きく異なります。

資格手当の相場 は、月額5,000円~20,000円程度です。大学病院や総合病院では比較的手厚い傾向があります。一方、クリニックなどの小規模医療機関では明確な資格手当がない場合もあります。

昇給への影響 として、超音波検査士の資格は直接的な昇給よりも、キャリアアップや昇進のチャンスを増やす効果が大きいでしょう。特に専門性を活かした職場への転職や、院内での役割拡大につながりやすくなります。

複数の認定資格 を持つことで、より高い評価を得られることがあります。例えば、循環器領域、消化器領域など複数の超音波検査士資格を取得することで専門性が高まり、給与アップにつながりやすくなるでしょう。

超音波検査士の資格は、目に見える手当以上に、専門スキル向上による評価や、より条件の良い職場への転職機会の増加など、間接的に年収アップにつながる効果が大きいと言えるでしょう。

他の医療職との年収比較

ここで、臨床検査技師の年収を他の医療職と比較してみましょう。令和6年の賃金構造基本統計調査のデータを元にして調査しました。

看護師との年収比較

看護師の平均年収は約518万円程度です。
臨床検査技師よりも若干高い傾向にありますが、これは夜勤や交代制勤務による手当が加算されることが大きな要因でしょう。

臨床検査技師が超音波検査士の資格を取得すると、看護師と同等かそれ以上の年収を得られるケースもあります。特に専門性を高めた超音波検査士は、看護師と遜色ない年収を得られることが多いです。

勤務条件の違いも考慮すべき点です。看護師は夜勤や不規則な勤務が多い一方、超音波検査士は比較的規則的な勤務形態で働けることが多いという利点があります。

診療放射線技師との年収比較

診療放射線技師の平均年収は約550万円程度で、臨床検査技師よりも若干高めです。放射線管理区域での業務による特殊勤務手当が加算されることがあります。

超音波検査士と診療放射線技師は、どちらも画像診断に関わるという点で共通していますが、使用する機器や検査方法が異なります。専門性を高めることで、どちらも年収向上が期待できます。
両職種とも医療機器メーカーへの転職により年収アップが期待できるという共通点があります。

細胞検査士との年収比較

細胞検査士の資格を持つ臨床検査技師の平均年収は、求人情報から見ると約480~550万円程度で
通常の臨床検査技師よりも高い傾向にあり、これは専門性の高さが評価されているためです。

超音波検査士と細胞検査士はどちらも臨床検査技師のキャリアアップとして人気のある選択肢です。
両資格ともに、取得難易度の高さから資格保持者の希少性があり、それが給与に反映される傾向があります。

超音波検査士が年収を上げる具体的な方法

超音波検査士として年収を上げるためには、どのような方法があるのでしょうか。具体的な戦略を見ていきましょう。

専門領域の深化とスキルアップ

特定の領域に特化した専門性を高めることは、年収アップの有効な手段です。例えば、循環器領域消化器領域産婦人科領域などの分野で高度な技術を習得することで、より高い評価を得られやすくなります。

最新技術の習得も重要です。新しい技術を積極的に見につけることで希少価値の高い人材になれるでしょう。

好条件の職場への転職

より好条件の職場へ転職することも、年収アップの直接的な方法です。医療機器メーカーの臨床アプリケーションスペシャリストなどの職種は、臨床経験と超音波検査の専門知識を活かせる高収入の選択肢です。

人間ドックや健診施設は、比較的働きやすい環境で安定した収入が期待できます。特に超音波検査のニーズが高まっており、腹部、乳腺、頸動脈といった部位の検査ができれば重宝されるでしょう。

都市部の大規模病院は、地方や小規模医療機関と比較して給与水準が高い傾向にあります。キャリアアップと同時に年収アップも期待できます。

転職タイミングとしては、超音波検査士として3~5年の経験を積んだ後が効果的です。この時期は専門性と経験のバランスが評価されやすいタイミングです。

臨床検査技師で年収1,000万円は実現可能?

臨床検査技師や超音波検査士として年収1,000万円を達成することは、通常の病院勤務では難しいのが現実です。しかし、以下のようなキャリアパスを目指せば可能性はあります。

管理職への昇進として、大規模病院の検査部門責任者や検査センターの部長・所長クラスになれば、年収800~1000万円も不可能ではありません。

医療機器メーカーでの活躍も選択肢の一つです。特に営業マネージャーやマーケティング責任者などの管理職になれば、年収1000万円以上も視野に入ります。年収1000万円を目指すなら、臨床経験を活かした企業への転身が近道と言えるでしょう。

フリーランスとして複数の医療機関を掛け持ちすることも方法の一つです。個人契約で年収を大幅に増やせる可能性があります。ただし、労働時間と体力的な負担のバランスを考慮する必要があります。

超音波検査士の年収に関する疑問解消Q&A

超音波検査士の年収に関する一般的な疑問にお答えします。

「年収が低い・安い」は本当か

超音波検査士や臨床検査技師の年収は「低い」と言われることがありますが、これは比較対象によって評価が変わります。
一般企業のサラリーマンと比較すると平均的、医師や薬剤師と比較すると低めですが、他のコメディカル職種と比較すると平均的な水準です。

年収の低さを感じる原因として、業務内容と責任の重さに比して評価が低いという点があります。高度な専門知識と技術を要する職種であるにもかかわらず、残念ながらその価値が十分に評価されていないという現状があるのではないでしょうか。

ただし、超音波検査士の資格取得により専門性が高まることで、通常の臨床検査技師よりも高い年収を得られるケースが増えています。特に近年は、超音波検査の重要性が高まっており、専門性の高い超音波検査士の需要は増加傾向にあります。

年収に不満がある場合は、専門性を高める、管理職を目指す、転職するなど、様々な選択肢があることを検討してみましょう。

初任給とボーナスの実態

超音波検査士として新卒で就職することは一般的ではなく、まずは臨床検査技師として就職し、その後資格を取得するケースがほとんどです。

臨床検査技師の初任給は、公立病院で月給約21万円、私立病院で約20万円、検査センターで約19万円が一般的です。大卒と専門卒では約1~2万円の差があることもあります。

手取り額は、健康保険や厚生年金などの社会保険料、所得税や住民税などを差し引いた金額になるため、初任給が22万円の場合、手取りは約17~18万円程度になることが多いです。

ボーナスは、公立病院では年間4.0~4.5ヶ月分、私立病院では3.0~4.0ヶ月分、検査センターでは3.0~3.5ヶ月分が平均的です。ただし、勤務先の経営状況によって大きく変動することがあります。

超音波検査士の資格を取得すると資格手当が加算されることがありますが、資格取得要件の関係で卒業後すぐは関係ないでしょう。キャリアを積んでいく中で、専門性を評価されて年収アップにつながるケースが多いです。

まとめ

超音波検査士の年収は、資格を持たない臨床検査技師と比較して約10~15%高い傾向にあり、専門性を評価されることで年収アップにつながります。勤務先、経験年数、地域、専門領域などによって大きく変動するため、自分のキャリア目標に合わせた戦略的な選択が重要です。

年収アップを目指すなら、特定領域での専門性を高める、上位資格や関連資格の取得、好条件の職場への転職など、様々な選択肢があります。超音波検査士としてのスキルを磨き続けることで、臨床現場での貢献度を高めるとともに、より良い待遇を得られる可能性が広がるでしょう。

医療の世界で、超音波検査の重要性は今後も高まっていくことが予想されます。専門性の高い超音波検査士には、安定した需要があると言えるでしょう。長期的なキャリア形成を視野に入れ、計画的にスキルアップと年収アップを目指してみてください。

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