臨床検査技師の「10の魅力」を紹介!

今回は臨床検査技師の「10の魅力」について、
現役の検査技師である僕が紹介をします。

2020年、新型コロナウイルス(covid-19)の感染拡大の影響を受けて、

再注目をされている職業が「臨床検査技師」です。

理由として挙げられるのが、確定診断をするためのPCR検査を行う医療従事者だからです。

臨床検査技師は花形の職業とはなかなか言えませんが、

医師の診断や治療方針に大きく関われる仕事です。

高度化される医療分野の中で不可欠な医療職だと誇りを持って仕事をしています。

「検査技師になりたい人」・「どのような職業なのか知りたい人」は、
ぜひ最後まで読んで、臨床検査技師の魅力について知って欲しいと思います。

くまのこ塾長

臨床検査技師って、実は色々なことができるんです。

目次

検査技師の主な仕事は2つに分けられます

臨床検査技師の仕事は大きく2つに分ける事が出来ます。

臨床検査技師の主な仕事

主な仕事として「検体検査」と「生理機能検査」に分けられる

検体検査」・・・採取した検体(血液や尿、身体組織など)を検査し、正確な検査データを医師に提供する。

生理機能検査」・・・医療機器(心電計やエコー機)を使用し、直接的に患者さんの体を検査し、データを医師に提供する。

「検体検査」はより正確なデータを、
「生理機能検査」は技師の知識や技術によって左右されるので、

どちらも臨床検査技師にとって大事な業務であることは変わりありません。

臨床検査技師の「10の魅力」!

では、早速ですが、魅力についてお話していきます。

1.活躍できる施設がたくさんある

臨床検査技師の働く場所といえば、どんな場所を思い浮かべますか?

きっと「病院」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし、臨床検査技師は活躍する施設がたくさんあるのです。

では、施設の一部を紹介していきましょう。

病院・クリニック

就職先として一番多いのが病院・クリニックだと思います。
特に大きな医療機関には必ず「臨床検査課」なる部署が設けてあり、医師の診断や治療計画に欠かせない検査を日々、任されています。

最近では街のクリニックでも、検査技師が働いているケースも増えてきています。(僕もそうです)

「検体検査」や「生理機能検査」に従事する事になります。

検査センター(ラボ)

様々な医療機関から集まった検体を検査するのが、検査センター(ラボ)になります。

メインは「検体検査」になります。常に機械と検体とにらめっこです。
患者とは接する機会はほとんどありません。

健診センター(人間ドック)

予防医学のように、近年はとても需要が高まってきています。
基本的に健康な方が対象となるので、接客についても詳しく学べます。

超音波検査や心電図などの「生理機能検査」、尿検査や採血などの「検体検査」も行います。

保健所関係

臨床検査技師の他に、公務員試験に合格すると公的機関で働くこともできます。
公立病院などもそうですね。

また、保健所の場合は衛生検査や食品管理検査なども請負うため、臨床現場とは少し離れた仕事になります。

製薬会社・医療機器会社

こちらは臨床現場ではなく、一般企業に就職をするイメージです。臨床検査技師の知識や経験を生かして、医師やコメディカルに商品の営業をします。治験関係の仕事もあります。

教育機関

病院などで臨床経験を積んで、母校の大学や専門学校の教員スタッフになることです。

教育に携わりたい人は良いかもしれませんね。
ただし、臨床経験を積まないと従事できない事がほとんどです。

2、幅広い業務分野があるので自分に合った仕事を見つけられる

主な業務として「検体検査」と「生理機能検査」に分かれるというお話をしました。

しかし、検査技師の業務は多岐にわたり枝分かれをしています。

例えば、僕のように街のクリニックで患者相手に「超音波検査などの生理機能検査に従事する人もいれば、
顕微鏡で「細胞診」という検査をする人、
また産婦人科クリニックで「エンブリオジスト(胚培養士)」として顕微鏡受精や人工授精に携わっている人もいます。

最近ではPCR検査をする検査技師もいますよね。

臨床検査技師の魅力として、
様々な業務内容から自分がやりたいこと、
自分に合った仕事を見つけられる事ができる医療従事者といえます。

医療に携わり、人の役に立つ方法はたくさんあるのです。
これから臨床検査技師を目指す方は、どんな仕事があるか調べてみるとよいでしょう。(僕も記事にしていきます)

3、チーム医療の一員になる事ができる

医療機関で働く場合に限られてはしまいますが、
臨床検査技師は「検査のプロフェッショナル」という立場もあり、
近年は医師から非常に頼られる存在になってきています。(これは僕も肌で感じています。

医師を中心としたチームに検査技師も加わり、患者の治療にダイレクトに携わる事ができるのです。
これは非常にやりがいのある仕事だし、「自分は医療貢献している」と実感もするでしょう。
また、他の資格者とも交流が深まり、自分の世界も大きく広がっていきます。

自分で言うのも恥ずかしいですが、僕は技師として院長から信頼されています。
検査の知識を極めれば極めるほど、医師の近くで働く事ができるのです。

自分の努力次第にはなりますが、どんどん活躍する場所を作っていきましょう!

⇧チーム医療

4、医師より先に病気を見つける事ができる

ちょっと大げさな事を言ってるかもしれませんが、事実でもあります。

説明していきますね。

医師は診察をして、病気を疑ったり、スクリーニングとして私たち臨床検査技師に検査依頼をします。
この段階ではまだ病気の診断はついていませんよね。

つまり、これから検査を行う検査技師がまず始めに患者の病気を見つける事ができるのです。


もちろん診断を付けることは出来ませんが、検査をして緊急を要する場合はDrコールをしたり、疾患の早期発見に結びつくこともあります。

臨床検査技師の魅力として、「検体検査」でも「生理機能検査」でも、

患者の「健康状態がわかる=病気を見つける」ことができるのです。

5、医師に頼られるほどの専門知識や技術を身につける事ができる

僕の経験談になります。

僕は臨床検査技師の資格を取ってから、超音波検査に重点を置いて仕事をしてきたおかげもあって超音波検査については少し、自信があります。

病院の検査室で働いている時、消化器医師からこんな風に言われました。

「くまのこ君、黄疸の患者がこれから救急車で運ばれてくるから原因精査目的でエコーしてくれないか?」

医師からのこの言葉は検査技師の冥利につきます。

僕のエコー技術を信頼してくれているので、数ある検査技師の中から僕を指名して連絡をくれたのです。

やはり医師から頼られると、頑張りたくなるし、期待にも応えたくなりますよね。

こんな感じに、業務を極めていけば医師から頼られる技師になる事ができるのです。

6、代えがきかない医療従事者になる事ができる

医師もそうですが、医療従事者は、板前さんと同じように「職人気質」だと思います。

先ほどの続きの話になりますが、「医師に頼られる技師」になると言うことは、その道の職人になるという事です。

心電図を判読できる技師、エコーができる技師、細胞診をみれる技師、病理標本を作製できる技師。たくさんの仕事が細分化されている中で、それぞれのプロになるという事。

この道を極めるために、沢山の経験値を重ね、経験学会や研究会、そして多くの本や文献を読んで知識を深めていった事でしょう。

1日2日では、たどり着けない努力をしたのです。

つまり、専門知識を深め、医師に頼られる技師になると言うことは、
そこの医療機関に取って「代えのきくことができない優秀な検査技師になる」ということなのです。

そんな検査技師になれば、給料も上がります。周りからも信頼、評価され、日々の生活に潤いも与えることになるのです。

7、採血をする事ができ、実は一番うまい。

検査技師を目指している方や、現役の検査技師は当たり前の話ですが、
検査技師は採血をする事ができます。

もちろん医師と看護師も採血をする事ができます。

臨床検査技師は採血できる量は「20mlまで」ですが、医師の判断により、「20ml以上」の採血をする事ができます。

でも、クリニックや診療所で働いていると、なかなか20ml以上の採血を行うことはほぼないです。

患者から質問をされる事があります。
それは「誰が一番採血が上手なのか?」と言う疑問です。

医療機関で採血が一番うまいのは、臨床検査技師だと思っています。

医療機関で採血行為を最も行うのは、臨床検査技師です。

朝の病棟採血、一般外来の採血にしろ、ほとんどが検査技師が行っています。
つまり、嫌でも採血がうまくなるのです。

もちろん経験値がモノをいう世界なので、
新人検査技師と何十年と看護師をやってきた方を比較することは難しいですが。

ただ、検査技師は注射や点滴などの医療行為を行うことは出来ません。

採血
⇧痛くない採血

8、培った知識を日々の生活に役立てる事ができる

臨床検査技師の“検査のプロ”。たくさんの知識を学ばなければなりません。

そして、たくさんの患者や検体と接していくことになります。

働いていくうちに患者の見た目や雰囲気と血液データなどの結果が結びついていくようになります。

どういう意味かというと、
患者をみると「この人、どこか調子が悪そうだ。〇〇〇かもしれない。」と、ピンとくるようになります。

そして、自分の身の回りの健康にも気を使う事ができるようになり、家族や友人などの健康の変化にも、いち早く気付く事ができるのです。

例えば、僕はこのような経験をした事があります。

お正月に遠い親戚の方が、実家に挨拶にきた時です。

「最近、尿の色が濃くなった気がして、食欲もない。」そんなことをボソっと呟いていました。

その時、僕はピンと勘が働き、こうアドバイスしました。

「黄疸の初期症状かもしれないから、病院で検査をした方が良いと思います。」

結果は「胆管癌」でした。初期の癌は痛みや症状の訴えが少なく、悪化してから症状が出るので、気付くのが遅くなる事が多いのです。この方は無事に手術をする事ができました。

くまのこ塾長

医療の知識を日々の生活に役立ててみよう!

9、人の命を救う事ができる

上記でも話した通りですが、臨床検査技師も人の命を救う事ができます。

医療機関の置いて、我々は“縁の下の力持ち”的な存在ですが、

検査内容によってはダイレクトに命を救う事ができるのです。

こちらも経験談になります。

たまたま患者がいつもの薬をもらいに来院した時、スクリーニング検査で頸動脈エコーを行いました。
その時、脳に飛んで、脳梗塞を引き起こしそうな血栓(可動性プラーク)を認めたのです。

すぐDrコールをして、その方は大きな病院の脳神経外科に紹介をしました。

少しでも遅れていたら、危険な状況になったかもしれません。

後日、家族の方からお礼のご挨拶もいただきました。
検査技師になって良かったと思える瞬間でした。

このように臨床検査技師も、医師と同じように早期に患者の命の危険を察知する事もできると思います。

10、新型コロナウイルス(covid-19)で再注目されている

冒頭でもお話しをさせて頂きましたが、新型コロナウイルス(covid-19)の確定診断をするために行う検査を「PCR検査」といいますよね。

このPCR検査について簡単にお話させてください。

PCR検査はPolymerase Chain Reactionの略語で、「ポリメラーゼ連鎖反応」という意味です。

仕組みは喉や鼻からの粘膜を拭って、その中の遺伝子を増幅、複製をしてウイルス感染の有無を調べる検査です。

この喉や鼻に綿棒を入れる操作をできるのは、医師(歯科医師も)・看護師・臨床検査技師です。(精度は下がりますが、唾液で行うPCR検査もあります)

しかし、PCR検査を実施するのはそう、私たち臨床検査技師です。

もちろん、説明書を見ればできるようになる検査ではありません。

知識と技術、そして感染症対策などをきちんと理解しなければできない検査なのです。

つまり熟練した臨床検査技師でなければ検査を実施する事ができません。

僕はPCR検査ができない臨床検査技師です。

日頃から休みなしに、身を削りながらも、検査センターや病院でPCR検査に従事している検査技師の方達には、本当に頭が上がりません。同士としても本当にリスペクトをしています。

PCR検査は完全にオートメーション(自動化)できず、どうしても手作業になる工程があります。技術が伴う仕事です。

決して、ボタンひとつで検査ができるわけではありません!!!

新型コロナウイルス(covid-19)の感染に伴い、「臨床検査技師」という業種が再注目されているのは本当に僕にとって嬉しい事です。

⇧PCR検査機

臨床検査技師のデメリット

メリットもあれば、残念ながらデメリットもあります。細かく書くと悲しくなるので、ささっとお伝えします。

大きなデメリットとして、「臨床検査技師の認知度が低い」「業務独占ができない」事が挙げられます。

これが最大の悩みです。

友人に自分が臨床検査技師の話をしても「???」な状態になることもしばしばあります。(そんな経験ありませんか?)

しかし、PCR検査も含めて大きな医療機関からクリニックまで、臨床検査技師の需要がなくなることはないと僕は思っています。

そして、臨床検査技師は独占できる業務がないのです。

看護師は採血する事ができるし、エコー検査もすることもできます。放射線技師はレントゲンを撮影できますが、検査技師も看護師も撮影することができないのです。

しかし、臨床検査技師の認知度は低く、業務独占はできないにしても、必要とされる仕事です。

現に私は、働いているクリニックでは大事な戦力になっていると自負しています。

さいごに

今回は臨床検査技師の「10の魅力」と、少しだけデメリットについてをお話をしました。

臨床検査技師を目指している方はより一層の憧れを持つ事ができたでしょうか。 

臨床検査技師という業種を知りたい方はイメージが湧いてきたでしょうか。

そして、僕と同じ現役検査技師の方は、自分の資格に自信と誇りを再確認する事が出来たでしょうか。

この記事を読んで少しでも、何かを感じてくれたり、得るものがあればすごく嬉しいです。

臨床検査技師はまだまだ、認知が低い業種であることは確かです。

それでも、医療業界で“人の命を救いたい”という気持ちは、医師でも、看護師でも、臨床検査技師でも同じです。それは変わりありません。

魅力あふれる臨床検査技師がもっと世の中に認知され、優秀な検査技師が増えることを切に願っています。

あなたを待っている患者は、沢山いると思いますよ。


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