エコーが出来るようになりたいけど、教えてくれる人がいない。こんな時のアクションプランは? #22
こんにちは、臨床検査技師のサユコです。
フレッシュな新人さんたちがあちこちで見られる季節になりました。
自分が新卒の頃はもうだいぶ昔のことになりますが、こちらも初心を思い出していきたいところです。
私事ですが、わけあって心エコーの勉強を再スタートすることになりました。
新年度も始まったことですし、心も技術も新人のつもりで頑張りたいところです!
…ですが。
「教えてくれる人がいない!経験を積めるほど件数がない!」
「エコーが出来るようになりたい!」という臨床検査技師さんは多いのではないかと思います。
生理検査の中でも取得に時間がかかりますし、色々な部位を検査するので
そして、
「エコーが出来るようになりたいけど、教えてもらえる場所がない!」
という技師さんも多いのではないでしょうか。
大きい検査室だと、教えてもらえるまで順番待ち。いつになるかわからない。
少人数のクリニックに勤務していて教えてくれる人がいない。検査自体も依頼数が少ない。
クリニックの1人現場で検査を担当していたら、未経験の部位も出来るようにしてほしいと頼まれた(今回の私ですが)。
ということで、今回は「教えてくれる人がいないけどエコーが出来るようになるにはどうすればいい?」というテーマを掘り下げてみたいと思います。
同じような悩みを抱えてモヤモヤしている方、一緒に頑張ってみましょう!
技術の独学はまず無理!
エコーの検査ではプローブを操作して検査対象を描出し、くまなく観察します。
検査対象をしっかり描出するのが第一関門なのですが…
プローブ操作の独学はまず無理です!
もちろん機械操作に慣れるために触ってみる、ボタンの位置などを確認するといったことは大切です。
プローブの持ち方、操作の仕方は最初が肝心です!
変な癖がつくと後から修正するのに苦労しますし、隅々までスキャン出来ていない、観察不十分な検査の原因になりやすいでしょう。
プローブを持ったことがない全くの初心者の場合は、最初に正しいプローブの持ち方と操作法を習う必要があります。
独学で出来ることはある?
逆に、プローブ操作以外のこと、正常値や解剖の知識などテキストで勉強できることは独学可能ですよね。
勤務先で指導してもらえる場合でも、座学に当たる部分は「自分で勉強してね」と言われ、テキストを渡されて終わることが多いのではないでしょうか。
エコーの画像と照らし合わせながら、何が描出されているか、周りにある構造物は何か…といった勉強は自分で進められます。
他には、疾患の知識も勉強できますね。
検査中に遭遇しやすいものからテキスト上の知識を学べます。
最近はスキャンの動画が見られるようになっているテキストもありますので、有効活用したいところです。
どうやって技術を習う?
独学は無理とはいえ、職場で教えてもらえないから困ってる…
そんな場合は、とりあえず初心者向けのハンズオンセミナーに参加しましょう!
「絶対にエコーが出来るようになりたい!」と思ったら見通しが立っていなくても勢いで申し込んでみて下さい。
正しいプローブの持ち方と操作法を指導してもらえます。
先日、私も心エコーの初心者向けハンズオンセミナーに参加してきました。
これまで腹部、乳腺、頸動脈、心臓のハンズオンセミナーを受講しましたが、
いずれも勉強になるのはもちろん、
「よし、どうにかして出来るようになろう!頑張ろう!」というモチベーションアップにつながります。
「1回習ったところで出来るようになるわけじゃないし…」
「参加費用が高いんだよね…」
とも思いがちなのですが、「エコーがやりたい!」と強く思っている方は、
自己投資だと思ってまず行動してみることをおすすめします。
ハンズオンセミナーの先生は指導のプロなので、アドバイスや説明が具体的で非常にわかりやすいです。
(正直、職場の先輩や上司よりわかりやすかったかも…)
自分の手技に合わせて指導が受けられますし、
「検査件数が少ない中でこの先どうやってトレーニングしていくのがいいですか?」
といった相談もさせて頂いたことがあります。
色々な団体がハンズオンセミナーを開催しています。
いくつかの団体のセミナーに参加してきましたが、
私がおすすめするのは「くまのこ臨床検査技師塾」のハンズオンセミナーです!
・心臓
・甲状腺
・下肢動
・脈頸動脈
・腹部
・シャント(バスキュラーアクセス)
と、主要な検査部位はほぼ網羅して開催されている上に、最大でも機械1台につき4人まで。
部位によりますが、基礎から応用レベルに対応し、自分の疑問を解決するセミナーの開催などバラエティに富んでいます。
平日夜に設定されているセミナーもあるのでフルタイム勤務の方も大丈夫!
土日開催のものもあるので子育て中で時短勤務…なんていう方にも門戸が開かれています。
そして、数々のハンズオンセミナーに参加した経験から費用も破格だと感じます。
お得です。
私は頸動脈のハンズオンセミナーでお世話になりました。
なんと贅沢にもマンツーマンでご指導頂いた上、事前にメールで送っていた質問に対してもしっかりご解答頂ききました。
疑問の解答の根拠となる論文まで探して頂き、ハンドアウトしたものをありがたく頂戴して帰ったことが印象的です。
ここまで疑問に対して真剣に答えてもらったのは初めてでした。
「エコーがやりたい!出来るようになりたい!」と思っている方!
セミナー情報は随時更新されているので、こまめにチェックすることをお勧めします。
(くまのこ検査技師塾ハンズオンセミナー)
ハンズオンセミナーのその先は?
ハンズオンセミナーの参加を熱くおすすめして、とにかく一度参加した。
モチベーションアップしてどんどん練習したくなった!
…ところで、その先はどうしたらいいでしょう。
ハンズオンにたくさん通えればいいでしょうが、時間もお金も有限ですので中々難しい。
エコーの依頼はたまにしかない環境、指導者がいない環境では、どうやってトレーニングすればいいでしょうか。
ある程度数をこなさなければ上達しない上に、症例にも出会えません。
一歩踏み出した次にやるべきことは、
- 職場の人に協力してもらって描出を練習する
- 研修先、練習させてもらえるところを探す
- 知識面の不足は勉強会・セミナーに参加して補う努力をする
といったことです。
機械に自由に触っていいなら(先輩の目などを気にしなくていい環境なら)、
ハンズオンで習ったことを復習しつつ、職員に被検者をお願いして練習します。
もし知り合いの伝手などで研修に行かせてもらえる、練習させてもらえる場があるならありがたくお願いしましょう。
クリニックなど、検査件数が少ない場合はどうしても経験できる症例が少なくなりがちです。
オンラインセミナーなども活用しながら知識を補完しましょう。
現在はアーカイブ配信などもあり、ずいぶん参加しやすくなりました。
(もちろんくまのこ検査技師塾でもオンラインセミナーは開催されています!(くまのこ検査技師塾オンラインセミナー))
転職も視野に入れつつ、諦めない!
「エコーを教えてもらえないから辞めます」といって辞めていく人をたまに見かけますが、気持ちは非常によくわかります。
これに関しては色々な考えがあると思いますが、私は「それもあり」という意見です。
「エコーを教える」と面接で言われたものの、実際は順番待ちで何年後になるかわからない、
ベテラン技師が指導せずに独壇場になっている…というのはよくある環境です。
はっきり「エコーがやりたい」と意思表示して自分なりに期限を決め、
叶いそうもないけれど「やっぱり諦められない」という場合は転職も視野に入れていいのではないでしょうか。
人生一度きり、環境が許されるなら「やりたい」と思ったことを追求してみてもいいと思います。
検査にかける思いが強いほど、向上心もキープできるのでは。
転職しないまでも、諦めずにチャンスを伺いましょう。意外なタイミングでチャンスが巡ってくるかも知れません。
諦めずに一歩ずつ!アクションプランのまとめ
というわけで、指導者がいないけどエコーが出来るようになりたい方のアクションプランとして、
- 1回初心者向けのハンズオンに参加する
- プローブ操作の練習環境をどうにかして見つける
- 座学で補える知識は独学
- 期限を決めて、今後の進路を考える
- 諦めずにチャンスを伺う
をおすすめします。
今現在、私もこのプランを進行中です。
一緒に攻めの姿勢でエコーの取得を目指して頑張ってみませんか?
一児の母。
大学の検査技術学専攻を卒業した後、大学病院→個人クリニック→健診施設と勤務。
現在は検査技師かつ医療系ライターとして、フリーで働いています。
超音波検査士(健診領域)を取得したものの、まだまだ勉強中。